2015年7月25日土曜日

二条城バス駐車場について(文化庁への公開書簡)

謹 啓

京都市にある国の史跡「二条城」につき、あらためてご注目たまわりたく、以下一筆申し上げます。

京都市の市街中央に位置する二条城は、築城400年を越え、相当の部分が国宝の指定を受け、かつ国の史跡となっております。東寺の五重の塔とならんで、京都市を代表する古建築であり、世界遺産としてユネスコに登録されていることは、ここに申し上げるまでもありません。

非宗教的なものでは唯一のものであること、その外堀、内堀の石垣の全長が6㎞以上あること、平地にあって面積が20万㎡以上あることなど、二条城は、京都地域にある17の世界遺産の中でも際立った特徴を有しております。

現在、京都市の文化市民局文化芸術部元離宮二条城事務所がこれを管理し、一日平均の入城者は4千人以上を数えます。

市街に立地することから、地下鉄の二条城前駅が隣接するほか、二条城の入城口である大手門の前の堀川通りを通るバスの本数も十分にあり、一般入城者のほとんどは公共交通機関を利用してこの城を訪れます。一方、修学旅行生も多数で、その形態は、かつての団体移動から班別少人数の移動の見学に移行しつつあるとはいえ、大型バスが使用される場合もまだまだ少なくありません。

ところで二条城は、幹線道路の堀川通り側に広い駐車場スペースを有しています。管理者は一般財団法人京都市都市整備公社であり、バス30台、乗用車216台の駐車が可能です。修学旅行で、バスの駐停車スペースの不足で入城に手間取るといった事態は、関係者においても顧慮の外のことと聞いております。

しかし現在京都市は、現在のスペース以外にもバス駐車スペースを確保しようとしています。そのこと自体にはとりたてて問題はありませんが、そのスペースのために2千㎡を越える林を伐採しようとしています。

この書簡には、写真を添付しますが、その林は、二条城の外堀にあっても、もっとも深閑としたところであります。世界遺産条約が求める周囲環境の、まさに要の部分といってもよいでしょう。

この二条城の事例では、京都市は市街の中心部、かつ史跡の直上に駐車場を建設を計画しておりますが、京都市の基本的な交通観光施策はパーク・アンド・ライドであります。市街外側、場合によっては大津市にまでも駐車場を確保し、市街ならびに古建築付近への車の乗り入れを極力避けています。四条通りにいたっては車道の車線を減少させてさえおります。どうしてこのような施策の食い違いが起こるのでしょうか。

重ねて申しあげますが、京都市の担当部署が、このような計画をし、貴台文化庁に樹木伐採の許可申請をするということは、まったく理解に苦しみます。申請に際しては、とりわけ慎重に審査されることを切望いたします。
敬 具
 
 

2 件のコメント:

  1. こちらの記事を
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    はらせていただきました。
    都合が悪ければ連絡ください
    よろしくお願いします。

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    1. 小林さま

      記事ご覧いただき、お礼申し上げます。
      転載につきましては、どうぞご遠慮なくお使い下さい。ありがたい限りでございます。
      全文まとめてということでしたら、印刷でご利用もどうぞ。
      サクラの写真もどうか使ってやって下さい。
      どこかでお目にかかることができましたら幸甚に存じます。
      またフェイスブックにもアクセスいたします。
      今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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